原因不明の歯痛(非定型歯痛・特発性歯痛)
■ 非定型歯痛(特発性歯痛)とは?
「歯医者さんに行って歯を治療したけれども歯痛がとれない」
「歯を抜いたのに痛みが治まらない」
しかし、歯医者さんでいくら検査をしても歯痛の原因が見つからない・・・。
このような原因不明の歯痛のことを、「非定型歯痛」あるいは「特発性歯痛」と言います。
様々な年齢で発症しますが、特に40代の女性に多く見られます。
■ 非定型歯痛(特発性歯痛)の原因
原因不明と言われている非定型歯痛ですが、一応いくつか原因に関する説があります。
【精神的ストレス】
精神的ストレスを感じると、それに伴って血中のカテコールアミンの量が増加し、そのため歯の周囲の血管が充血して歯痛が引き起こされるという説。
非定型歯痛を訴える患者の約半分は、同様にストレスによって生じると考えられているブラキシズム(歯ぎしり)も併発しているということも、この説をより有力なものとする理由の1つです。
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【神経因性説】
原因不明の歯痛を訴える人の多くは、過去に歯の治療を繰り返し受けています。
この治療の際に、歯の神経から脳へ痛みを伝える神経伝達が混乱してしまうことにより、原因不明の歯痛(非定型歯痛)が引き起こされるというのが、神経因性説です。
現在この説が、非定型歯痛(特発性歯痛)の原因の最も有力な説となっています。
■ 非定型歯痛(特発性歯痛)の問題点
非定型歯痛は原因がよく分からないにも関わらず、患者さんは歯痛を訴えるため、意味の無い神経の治療(根管治療)を繰り返したり、関係の無い歯を抜歯してしまったりということが少なくありません。
また、患者さんは、治療を何回繰り返しても治らない、何軒も歯医者に行っているのに治らないということからますます不安になってストレスがたまり、症状が悪化する・・・という悪循環に陥ってしまいます。
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また、非定型歯痛(特発性歯痛)に対しては、歯科治療を行うこと自体が症状を悪化させる原因になってしまいかねませんので、痛みの原因が分からない歯に対しては慎重に対応しなければなりません。
■ 非定型歯痛(特発性歯痛)の治療法
非定型歯痛(特発性歯痛)に対して歯科治療を行うことは、症状を悪化させるだけであって治療効果はないと考えられています。
そのため、原因不明の歯痛である非定型歯痛の治療には、三環系抗うつ薬(ドスレピン、アミトリプチリンなど)の投与が有効です。
これらの三環系抗うつ薬の投与によって遊離するノルアドレナリンの量が増え、ノルアドレナリン神経伝達が増強されることによって、症状の改善が期待できます。
また、三環系抗うつ薬単独では症状の改善が見られない場合には、抗精神病薬(フェノチアジン)の併用も効果的だと考えられています。
抗精神病薬(フェノチアジン)にはドパミン神経伝達の抑制作用があるため、神経回路の混乱を解消させる効果があると考えられています。
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基本的には三環系抗うつ薬単独で治療し、まず、20-25mgの低用量から使用開始、副作用との兼ね合いをみながら徐々に増量していきます。
鎮痛が得られたら、今度は逆に徐々に減量し、中止する。という流れになります。
この際、出来るだけ三環系抗うつ薬単独で治療を行い、抗精神病薬との併用は可能な限り後伸ばしにすることが重要です。
■ 非定型歯痛(特発性歯痛)の予後
三環系抗うつ薬、抗精神病薬を用いた治療を行なうことよって、原因不明の歯痛を訴える人の約8割で症状の改善が見られたという報告があります。
(約10%は薬物療法が奏効せず、残り10%は治療拒否、来院せず)
しかし、非定型歯痛(特発性歯痛)の治療は基本的に数ヶ月〜半年、場合によっては数年にも渡る治療を必要とすることもあり、一度完治したと思ってもまた再発してしまうこともありますので、医師と患者双方が十分にコミュニケーションをとって、治療を進めていく必要があります。
■ 三環系抗うつ薬と、SSRI、SNRIについて
うつの治療を行う場合、医科では三環系抗うつ薬は便秘や口が渇くなどの副作用が強いので最近はあまり使用されず、代わりにSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor) 、SNRI(Selective Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)という薬が主に使用されるようです。
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